磐船神社・星田妙見神社・北辰妙見神社・田殿丹生神社


 


前々から一度行ってみたかったニギハヤヒが天磐樟船に乗って降臨したという地に建つ、大阪府交野市私市にある磐船神社へ行ってきました。磐船神社は天野川という渓流の流れる谷間にあり、辺り一帯は神秘的な雰囲気に包まれ、何か古代へタイムワープしたしまったような錯覚を覚えるようなところでした。磐船神社には社殿はなく、拝殿にのしかかるようにしてそびえる巨石群を天磐樟船であるとして御神体にしているとのことです。狭い境内には稲荷神社や自然石を彫った不動明王が身を寄せるように祀ってあり、それらの信仰が巨石群に見守られているかのような気がしました。境内にある民家の縁側のようなところが社務所の受付けになっており、そこのお爺さんに声を掛けて300円の拝観料を払うと、白衣を貸してくれ、手荷物を預けるように言われました。カメラもですかと訊ねると、手に何か持っていたら拝路を通 ることは難しいとのことで、いったいどんな拝路なのかと期待に胸を膨らませたりもしました。

 

岩窟めぐりと看板に書かれたその拝路は、天野川に山から巨石が崩れ落ちて積み重なったような形になっており、まるで修験道の胎内くぐりを思わせるようなものでした。天野川が増水した場合などは拝路をくぐり抜けることが出来ないので、岩窟めぐりは禁止となるそうです。拝路には岩に身体を密着させて大人がやっとくぐれるようなところや、足から身体を滑り落として進まなければならないところもあり、白衣を貸してくれた理由が服を汚さない為でもあるのだと判りました。それでもズボンは随分と汚れてしまい、どうせならズボンも貸して欲しかったと思いました。少し太っていたら拝路を進むのは無理のようです。また岩窟内には天野川が流れているところもあり、拝路を進むには何ケ所か頼りなさそうな木の橋を渡らなければなりませんでした。暗い岩窟の中では水音だけがして、どこか胎内を思わせるものがありました。二ケ所で薄暗い明かりが灯り、何かを祀った祠がありましたが、暗くて何を祀っているのか判りませんでした。岩窟の中を通 り過ぎると拝路は鬱蒼と木が茂る山の中となり、少し山道を登ると、屏風のような形になった二つの巨石の上に、屋根のような形で巨石がおぶさっているのが見えてきました。その下にオキ大神、登美毘古大神、白龍大神、岩戸大神と彫られた石碑がありました。この胎内くぐりのような拝路はスリルがあって楽しかったです。お近くに行かれたら是非に体験してみて下さい。巨石群を見た印象ですが、縄文時代の遺跡のような感じを受けました。

 


最近になって星神信仰について興味がありましたので、磐船神社と同じ交野市にある星田妙見神社(小松神社) へも足を伸ばして行ってきました。星田妙見神社は閑静な住宅地にあり、境内に入ると何か清浄な空気を感じさせるようなところでした。境内は思ったよりも広く、稲荷社や登龍の瀧という行場のようなところもありました。妙見宮と書かれた鳥居をぐぐり急な石段を息が切れるほど登ったところに拝殿があり、星神を祀っているだけに見晴らしの良いところでした。旗には三寶大荒神、星田妙見宮大神、後一つは何が書いてあったのか忘れてしまいました。祭神は天之御中主命ということでしたが、この神社はもともと、空海が秘宝を学んでいるときに北斗七星が村の三ケ所に降臨したうちの一つであり、拝殿の奥にある磐座に降臨したそうです。北斗七星が降臨した三ケ所を結ぶと一辺が約1キロほどの正三角形になるそうです。

 


和歌山県かつらぎ町にある北辰妙見神社というところへも行ってきました。大阪府河内長野市から金剛生駒国定公園内の渓流沿いの林道を走り、かつらぎ町にある北辰妙見神社を目指しましたが、生い茂った草が、只でさえ狭い道幅をより一層に狭く感じさせて走るのにとても難儀しました。人気のまったくない山中を走って峠を越えるコースを選んでしまい、途中クルマと一台もすれ違うことなもく、こんなところでクルマが故障でもしたらどうしようなんて後悔もしましたが、想像していた以上に秘境ムードが漂っていて楽しい道程でもありました。和歌山県かつらぎ町に入ってからは、急峻な山を少し下りてきたところから民家が点在し始め、随分と山の上にまで村があるのだと思いました。少し道に迷いながらも、三角形の特徴のある山が見えてきたと思ったら、その山を背にするようにして北辰妙見神社は鎮座していました。社殿に上がって行くと、丁度、村の男性が集まり神主からお払いを受けているところでした。祝詞の上手な神主さんで、朗々とした声が辺りに響き渡り、自分もお払いを受けているかのようで、なんだか得した気分になりました。星田妙見神社でも清浄な感じを受けましたが、この北辰妙見神社も清浄な清々しさを感じさせるところでした。祭神は妙見尊、素盞鳴尊、誉田別 命、三筒男命、市杵嶋姫命、蛭子命とのことです。

 


今回、神社巡りをして、三角形というものがキイワードのように妙に気になりましたので、山小屋に帰る途中に、やはり三角形の山を背にした和歌山県有田川沿いにある田殿丹生神社へ寄ってみました。ここの神社は実家からクルマで15分ほどのところにあり、実家に身を寄せている時に頻繁に通 ったところで、お気に入りの場所でもありました。この神社は白山という三角形の山を御神体としており、山の頂上には白山社が祀ってあります。この神社から川を少し下ったところには最古の部類に入るともいわれている稲荷神社や須佐神社があるのも何か気にかかります。以前、戦前のピラミッド研究家である酒井勝軍という人の本を手に入れ、少し読んでみたことがありましたが、日本にはピラミッドらしき山がたくさんあり、それらは自然の山を利用して作られていて、神社のルーツとなったと書かれていた記憶があります。日本のピラミッドについて少し調べてみたところ、神武天皇以前のウガヤフキアエズ王朝のスメラミコトが建設したものではないかとのことでした。実家に戻ったときに、酒井勝軍の本を探してみましたが、一度本を処分してしまったときにピラミッドについて書かれた本も処分していたようです。しかし、酒井勝軍の「神洲天子国」という本が出てきました。その見開きの中の一枚の写 真に神代文字と伝えられているものとしてサンカ文字(豊国文字)が彫られた石があり、「火之明之尊・・・云々」 と解説してありました。信仰の対象となった三角形の山、そこに祀られている神々の系譜、なにか面 白いものが浮んできそうです。

【追記】 星神信仰について調べていたら、歴史民俗学12号「しゃぐじ神信仰覚え書き」吉村睦志氏の中に、サルタヒコ・ミシャグジ・天白神・道祖神は、大和大王とその神以前にさかえたきた先住氏族とその神を象徴したもので、シンボル世界では同一であるとする記述が見付かりました。その天白神の起源は、オシラ様と関係があるとする説もあるとのことです。そして天白神は星の位 の神、星神であり、紀国の高野山や粉河に降り、いたるところに天白神が存在するとありましたので、かつらぎ町の北辰妙見神社もその一つなのかも知れません。また諏訪の国津神でみじゃぐじの古態である洩矢神が、代々北斗星を祀っていたとの説もあるとのことでした。




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