自然の中へ、そして心の中へ!


 


ディープエコロジーとエコフェミニズム


10代の頃に、NHKで放送していた『未来少年コナン』というアニメを見てから宮崎駿監督のファンになり、その後の作品を注目して見てきました。そういうこともあり『もののけ姫を読み解く』という本を読んでいたらディープエコロジーとエコフェミニズムについての話しがありました。ディープエコロジーとは、西洋の自然支配主義から生命相互が共生する社会へ転換しようとするのもので、ウィルダネス(人の手の加わらない自然)に触れることにより、そのエネルギーを感じ取り、地域の動植物との共生を中心にしたおだやかな小規模社会を実現することなのだそうです。自然を利用・支配の対象と考えてきた西洋型文明社会にあっては、反体制的な思想とも言われていたようです。しかし、環境破壊となることをしなければ生きていけない貧しい国々(人々)をどう考えるのかなど、その思想にも限界があり、 その思想を社会問題を切り捨てていると批判したエコフェミニズムの思想は言います。人類が環境を破壊したと規定するが、自然と共生してきたがゆえに差別 されてきた原住民や抑圧された女性まで、環境を破壊してきた人類とするのは間違いである。この人類とは先進国の男性である。西欧の合理主義と産業第一主義が、自然環境を破壊し、生命を抑圧する支配の構造を作り上げて来た。それは、女性や少数民族を差別 してきた歴史と同根である。家父長制の男子社会が暴力で自然を破壊し女性を抑圧してきた。だから自然と共生してきた人達や女性の解放こそが環境問題の解決にもつながるのだ。体内に生命を宿すことの出来る女性こそが、本当に生命連鎖を実感でき、環境保護の理念を実現できるのだと。 そういう意味では人の手が入ることで保たれてきた自然である日本的な里山にみる自然との関わり方や、自然と共生してきたアイヌの人々、女性に宿った神が一番偉く、兄弟を助けるという姉妹神信仰を持つ琉球の精神文化、自然を大切にして生きてきたサンカと呼ばれていた人たちの生き方には学ぶことが多いように思います。彼らは、共生してもよい自然と、そっとしておかなければならない自然をとてもよく知っていました。自然に優しい生き方ということは、人(女性や弱者)に対しても優しいということなのだと思います。




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