湯の口温泉


トロッコ列車


三重県紀和町に閉山になった紀州鉱山坑内をトロッコ列車に乗ってゆく湯の口温泉というところがある。近くには鉱山資料館もあり一度行ってみようと考えていた。地図を見ると思ったほど遠くなさそうなので、昼から行ってみることにした。場所は玉 置神社、瀞八丁の近くなのだが、今までに通ったことのない山道を通ることになるので、二時間近くかかることを覚悟していたが、鉱山資料館まで一時間あまりで着いてしまった。資料館の入館料500円は高いと思ったが、鉱山の歴史が分かりやすく展示してあり、江戸時代の坑内を再現したものもあり見ごたえがあった。展示資料の中に、 戦時中、英国人の捕虜300人を連行してきて人出不足を補って銅を掘っていた歴史があることを知り驚いた。この辺りの鉱山は歴史が古く、東大寺の大仏を建立したときには、この辺りから大量 の銅が供出されたようである。また、この辺りは南朝との関係が深く、南朝側の刀剣を造っていたと伝えられる入鹿鍛冶一族の手による刀剣類も展示してあり、非常に良いものであった。鉱山資料館からトロッコ列車の出発駅である入鹿温泉駅までは5分くらいであった。

湯ノ口温泉

入鹿温泉駅に着いたので、駅の待合室で時刻表と料金を確かめる。なんと入浴料金込みの往復料金が400円であった。思ったより安いので、いったいどんな温泉なのか不安になる。時刻表によると、トロッコ列車は約1時間半間隔で出ていた。10分ばかり待ったらトロッコ列車が温泉から戻ってきた。ううう、なんじゃこれは〜。まるで遊園地のお猿の電車みたいである。乗車するところは高さが150センチぐらいしかなく、身をかがめて乗らなくてはならない。閉所恐怖症気味なので、やっぱりクルマで行こうかなとも躊躇したが、トンネルの中がどうなっているのか、好奇心の方が強かったので我慢することにした。少したってから走り出し、すぐに坑内に入って行く。ひんやりして中はかなり冷たい。それに金気かなにかのガスの臭いがした。乗り心地はガタガタとかなりの振動で、かえって坑内を走っている雰囲気があった。10分間ほとんどすべてがトンネルの旅であった。湯ノ口温泉駅に着いてみたら思ったより感じのよいところであった。駅のすぐ近くに湯の口温泉はあった。鉱山を掘っていて温泉が涌き出し、一度は涸れてしまったが、もう一度調査のボーリングをしたら、地下1300メートルのところから46度の天然温泉がこんこんと湧き出したのだそうだ。泉質は透明なナトリウムカルシウム塩化物泉で、内湯と露天風呂がある。ややすべすべしていて良好な泉質であった。シャワーも勢いがあり、ボディソープも装備していた。売店にアイスクリームも売ってあったし、とても気に入ってしまった。長期湯治用の宿泊施設もあり、値段も町営なので安そうであった。ゆっくり入浴して再びトロッコ列車に乗って帰ったが、火照った身体に坑内のひんやりした冷たさが気持ち良かったです。






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