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街にでる用事ができたのだか、何を血迷ったのか、いつもの気紛れなのか、ポカポカ陽気に誘われて噂に聞いていた海が見える峠道とやらを通 って行ってみることにする。今では殆ど使われることがないというその道に何か惹かれるものを感じていた。峠道の入り口には軽自動車以外は通 り抜け出来ませんとの看板が出ていたが、経験上、軽自動車が通れればなんとかなるので臆することなく車を進めた。だが確かに道は細い、それに所々路肩が崩れていた。急峻な斜面 に作られた道なので、路肩が崩れたら、そのまま 一気に数十メートル下に落ちそうだ。 おミヨさんに送って貰った狼の声の入った音楽をかけながら走っていると本当に狼が出てきそうな気のする道であった。晴天なのに薄暗いそんな道を1時間ほど車を進めたら、ようやく海の見える峠へ辿り着いた。暖かい日で靄っていたし、太陽の位 置の関係であまり綺麗に海は見えなかった。夕方か朝早く来ればもっと景色が綺麗なのかも知れない。何日か前に見た夕焼けをここから見たらどんなであっただろうかとも思った。でも、そう何度も通 りたくない道なので、今度いつ来るのかは分からない。結局、30分で行ける街まで2時間かかって辿り付いた。 |